新築の家屋調査を徹底解説!元税務課職員が教える固定資産税を安くする4つのコツとは?

  • マイホームを建てたいけど固定資産税がいくらになるか心配
  • 税務課から家屋調査の書類が来て何を準備すれば良いのか分からない
  • 家屋調査ってそもそも何を調査するのか分からず不安
  • 住宅の固定資産税をできるだけ安く抑えたいけど方法が分からない

そんな悩みを抱えていませんか?

人生で一番大きな買い物と言われる住宅の購入。自分の理想の家を建てたい気持ちはあるけど、税金や細かい手続きは難しくてどうしても後回しにしがちですよね。

実はこの記事を書いている僕は数年前まで市役所の家屋調査員として年間100件以上の家屋調査をしてきました。当時の僕は税金の知識がまったくのゼロの状態で税務課に配属され、家屋調査という言葉自体も知りませんでした笑。

実は、家屋調査について知っておくと固定資産税を下げられる可能性があるんです!長くかかる税金を少しでも抑えたいなら、家を建てる前にぜひチェックしてみましょう!ぜひ最後までご覧ください!

固定資産税とは何か

固定資産税とは簡単に言うと物にかかる税金のことです。毎年1月1日に固定資産を所有している人や会社が、その固定資産が所在する市区町村に対して支払う「地方税」のことを指します。
以下が固定資産税の対象です。

  1.  土地
    田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地(雑種地)のこと。
  1. 家屋
    住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含みます。)、倉庫その他の建物のこと。
  1. 償却資産
    会社や個人が事業のために使用する建築物、機械、器具、備品等のこと。

新築の住宅は2に当てはまりますね。住宅は固定資産税の対象になるので所有者は税金を納める必要があるんです。

固定資産税の求め方

固定資産税の求め方をあらかじめ知っておくと大体の目安が分かるようになります。以下が計算式になります。

(課税標準額)×1.4%(標準税率)

この課税評価額とは調査員によって計算された住宅の価値のことを指します。毎年4月頃に「固定資産税納税通知書」が自宅に郵送され、固定資産税を払うことになります。

固定資産税の大体の目安

固定資産税の求め方は分かりましたが、家屋調査の前に大体の目安が分かっていれば安心できますよね。住宅の課税評価額は新築の場合、購入価格の約50〜60%と言われています。例をあげるなら2000万円の住宅を購入した場合、課税評価額は1200万円となるので計算式に当てはめると、

新築の固定資産税 = 1200万円(課税標準額) × 1.4%(標準税率)= 168000円

となります。課税評価額は住宅の種類によって変動するのでおおよその目安になります。

家屋調査とは何?概要と目的を解説

新築の家屋調査は1回しか行わないので一般の人には馴染みがないものですよね。この章では家屋調査の概要と目的について詳しく解説していきますので最後までご覧ください!

家屋調査とは

新築の住宅を購入すると、その翌年に固定資産税を決める評価額が決定されます。この住宅の評価額を決めるために実施するのが家屋調査です。

家屋調査を不当な理由で拒否したり、職員から求められた資料を提出しなかった場合はなんと1年以下の懲役や50万円以下の罰金が科せられる可能性があるんです!

これは固定資産税に関する法律の地方税法(第三百五十三条)に明記されているので調査には可能な限り協力するようにしましょう!

家屋調査の目的は正確な固定資産税の計算

正確な固定資産税を計算するためには家屋調査は必ず必要です!よく「評価額なら家を買った時の値段でいいじゃないか!!!」と思う方もいるでしょう。しかしここでいう評価額とは購入価格とは異なります。国が定めた、固定資産税評価基準法によって算出され、家をいくらで買ったかに関わらず決まるものなんです。

家屋調査の2つの方法

家屋調査は訪問調査と図面調査の2つに分けられます。僕が調査員をしていたときは主に訪問調査をしていましたが、調べてみると図面調査のみの自治体もあるんです。

訪問調査

実際に税務課職員が住宅に伺っておこなう調査で、ほとんどがこの調査方法になります。今回は訪問調査のメリットとデメリットをまとめてみました。

【メリット①】 正確な評価額がでやすい

税務課職員が住宅の内装や外装を直接見て調査するので正確な評価額が出やすいです。僕が調査をしていた頃は、ごく稀に図面の情報と違う素材を使っている住宅もありました。

【メリット②】 職員が家屋調査や固定資産税の説明をしてくれる

調査が終わった後に5分くらい家屋調査や固定資産税の説明をしてくれます。全ての自治体でしているかは不明ですが、税務課職員に直接話を聞けるので分からないことがあれば質問してみると良いかもしれませんね。

【デメリット①】 調査日程が組みづらい

家屋調査の時間はおおよそ1時間かかります。また、調査は基本的に平日しかおこなっていません。平日仕事をしている人にとっては、とても不便に感じると思います。

【デメリット②】 全ての部屋を見られる

家屋調査では基本的に全ての部屋を見られます。自分の家を人に見られたくない人はすごくストレスに感じてしまうかもしれません。万が一入らないで欲しい部屋がある場合は事前に伝えておくとその部屋だけは図面調査で評価になり職員も入らないので安心です。

図面調査

訪問調査がどうしても嫌だという方には図面調査をおすすめします。図面調査は住宅に伺わず図面で評価額を算定する調査方法です。方法としては自治体から提出するように言われた書類を渡すだけなのでとても簡単です。最近では、コロナ渦ということもあり感染予防のために図面調査が多く実施されていました。また、大都市になると図面調査のみで評価する自治体もあります。気になる方は自治体に直接確認してみるのが良いでしょう。

家屋調査の流れ

家屋調査の当日の流れが分からずに不安に思う人は多くいると思います。家屋調査のおおまかな流れは、以下の通りです。

  • 家屋調査の通知
  • 日程調整
  • 家屋調査当日

ひとつずつ説明していくので気になるところだけでもご覧ください!

家屋調査の通知

新築を建てるとまず法務局に登記の申請をします。申請から1〜3ヶ月以内のタイミングで自治体から家屋調査の通知が郵送される流れになります。

日程調整

通知が届いたら自治体の職員と連絡を取って日程調整をしましょう。僕が働いていた市役所では電話と対面で受付をしていました。家屋調査は各自治体の開業時間で行われるので平日のみの調査がほとんどです。平日仕事で立会いが出来ない方は日程調整に苦労するでしょう。立会人は住宅の所有者か親族になるので、その点もご家庭内で調整が必要になります。

家屋調査当日

住宅の内装や設備を全て見ていくのでおおよそ1時間ほどかかります。担当職員は「固定資産評価補助員証」を携帯しているので不審に思ったら職員に確認してみると良いかもしれません。全ての調査を一緒に見て回る必要はないので、調査員との挨拶が終わったら自宅で待機しておきましょう。

家屋調査で必要なもの

家屋調査で必要なものは以下の5つです。

  1. 平面図(部屋の間取り、面積、寸法が記されている図)
  2. 立面図(建物を横から見た図)
  3. 断面図(建物を垂直に切断した断面を表す図面)
  4. 仕様書(建物に使われている素材について記載されたもの)
  5. 認定通知書

  書類をコピーしておくと調査がスムーズに進みますのであらかじめ準備しておきましょう。

家屋調査で見られる8つの場所

家屋調査では図面と照らし合わせながら住宅のあらゆる部分を調査していきます。基本的に家屋調査で調べられるポイントは以下の8つです。 

  1. 玄関
  2. トイレ
  3. お風呂
  4. 洗面所
  5. システムキッチン
  6. 床材と壁材
  7. 外壁と屋根

固定資産税を少しでも安く抑えるには、この8つの場所に使う素材や設備に気をつけて住宅を建てる必要があります。今回はひとつずつ説明していくので気になるところだけでもご覧ください。

  1. 玄関
    玄関では、ドアの大きさや床のタイルの大きさなどをチェックしていきます。玄関の床がモルタルだと固定資産税が安いですが、タイルや大理石だとさらに評価が高くなっていきます。

  2. 基本的には窓の大きさと種類を調査します。窓の大きさは図面に記されている寸法と合っているか測定したり、窓の種類は網戸がついているか防犯ガラスなのかなどを中心に調査を進めていきます。最近では防犯対策として窓が防犯ガラスになっている住宅も増えてきました。窓の端にマークが付いている窓は防犯ガラスで評価が高くなります。気になる方は自宅の窓をチェックして確認してみましょう。
  3. トイレ
    トイレの個数と内装をチェックしていきます。手洗いと便器が一緒のタイプよりも手洗いと便器が分かれているタイプの方が、評価が高くなります。たまにトイレの内装がタイル張りになっている住宅があります。玄関と同じくタイルは評価が高くなるので特にこだわりがなければ、通常の素材をおすすめします。
  4. お風呂
    お風呂の広さと換気扇をチェックしていきます。乾燥機付きの換気扇やお風呂の広さが160×160cmよりも広くなると評価が高くなっていきます。
  5. 洗面所
    自宅の洗面所は洗濯機や洗面台があるため給水口(蛇口)の数が多いのではないでしょうか?。実は給水口の数が多いとその分評価が高くなるんです!また、洗面台も設備に入るので評価の対象としてみられます。
  6. システムキッチン
    キッチンの幅が255cm以上だと評価が高くなります。
  7. 床材と壁材
    一般的な住宅では評価が低いフローリングと畳を使用していることが多いです。評価額が高くなるのは、
    ・無垢フローリング
       ・大理石
    ・床暖房が付いているエリア
    などが挙げられます。壁材も同じくクロスや塗り壁よりもタイルや石材の方が評価高くなります。
  8. 外壁と屋根
    外壁は以下の順番で評価が高くなります。
    1. 吹き付け仕上げ
     2. サイディング
     3. 塗り壁
     4. タイル
    一般的な住宅では吹き付け仕上げが多い印象です。屋根に関しては勾配の大小や瓦などの材質によって評価が決められていきます。

以上の8ポイントを家屋調査で調べています。だいぶ家屋調査についてイメージがついてきたのではないでしょうか?材質の種類によって評価額が変化するので詳しく知りたいという方は総務省のホームページを見たり施工会社に相談しながら希望にあった住宅を建てることが良いでしょう。

固定資産税を下げる住宅づくりの4つのコツ

実は固定資産税を安く抑える方法はいくつかあります。今回紹介する方法に当てはまる方は最大で固定資産税が半額になるケースもあるのでぜひ最後までご覧ください。

固定資産税の減免措置を受ける(固定資産税は2024年2月までに住宅を建てれば安くなる)

実は固定資産税を安く抑えるには軽減措置がおすすめです。住宅用の軽減措置は床面積など一定の条件を満たした住宅です。ただし軽減措置を受けられるのは2024年2月までに住宅を建てた場合なので注意が必要です!今回は分かりやすく表にまとめてみました!

床面積要件減額減額期間
一戸建て
50m2以上280m2以下
(120m2まで)
1/23年間
マンション1/25年間
認定長期優良住宅1/25.7年間(諸条件あり)

減額される範囲

減免措置が受けられる範囲は、床面積が50m2以上280m2以下の一戸建てやマンションで、床面積の120m2まで固定資産税が1/2までに減額されます。床面積が120m2以上280m2以下の建物の場合は床面積の120m2部分だけが減額され、残りの床面積は通常の固定資産税を払う必要があります。

減額される期間

固定資産税が減額される期間は、

  1. 一戸建ては新築から3年間
  2. マンションは5年間
  3. 長期優良住宅は5年間 or 7年間

になります。ただし軽減措置を受けられるのは2024年2月までに住宅を建てた場合なので注意が必要です!

減免措置の申告は必要なし!

一般的な一戸建てやマンションは申告する必要はありません。しかし認定長期優良住宅の場合は申請が必須です。新築した年の翌年の1月31日までに申請が必要なので忘れずに申告をしましょう!

家屋調査に協力する

固定資産税を安くする一番の方法は、訪問での家屋調査に協力することです。家屋調査をする職員はいわば固定資産税のプロなので豊富な知識と情報があります。僕も市役所の税務課で働いていた時は、頻繁に研修を受けたり先輩から家屋調査のノウハウを指導してもらいました。職員に直接住宅を調査してもらうのが一番正確ですし、もし調査や固定資産税に不満があった場合でも市役所で気軽に相談できるので訪問での家屋調査に協力するようにしましょう。

木造住宅が固定資産税が安い

住宅は大きく分けて木造住宅と鉄筋住宅の2種類に分類されます。木造住宅と鉄筋住宅の違いは初期費用と耐用年数です。当たり前かと思いますが、木造住宅よりも鉄筋住宅の方が初期費用も耐用年数も長くなるので固定資産税も鉄筋住宅の方が高くなります。住宅の固定資産税をできるだけ抑えたいという方は木造住宅にすることをおすすめします。

設備を後付けする

これは本当に裏技なので口外厳禁でお願いします!!!

  • 物置

自宅の庭に物置を置くと住宅の一部としてみられるので固定資産税が発生します。物置を置く予定があるのであれば家屋調査が終わった後に後付けすると良いでしょう。

  • 2個以上のトイレを設置する場合

住宅によってはトイレを2個以上設置する場合もあると思います。裏技としては家屋調査の時はトイレを1つだけ設置しておいて、調査が終わったタイミングでトイレを後付けするとだいぶ評価額を抑えることができます。

これらの方法は施工会社と連携しなければならないので担当者と密にコミュニケーションをとっていきましょう!

最後に

今回は新築の家屋調査と固定資産税について解説しました。税金について考えるのは中々億劫になりがちですが、正しい知識を知っておくことで自分の資産を守ることができます。もちろん税金を納めることは日本人の三大義務の一つなのでしっかり守らなければなりません。しかし本来、支払わなくてもよい税金を払ってしまったり、軽減措置を見落としてしまうととてももったいないですよね。しっかり税金の知識を身に付けて理想のマイホームを建てられるように勉強していきましょう。

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